アメリカでもっとも環境規制が厳しいといわれているカリフォルニア州の取り組みについて調べてまとめてみました!リベラルな人が多く、環境問題への意識が高いといわれているカリフォルニア州では、レジ袋やプラスティックストローの廃止や規制、CO2削減のための取り組みの一環でガソリン車の新規販売廃止、クリーンエネルギーのためのソーラーパネル設置の義務付けなど、次々と新しい取り組みをしています。
カリフォルニア州について
カリフォルニア州は日本の面積の1.1倍。人口は、2019年には3951万人。
2017年のカリフォルニア州の州内総生産額(GSP)は、2兆7,470億ドル。GDPと比較すると、世界5位のイギリスを超えました。
日本とほぼ同じ面積で、世界第5位のGSPを生みだすカリフォルニア州の環境に対する取り組みを調べてみました。
カリフォルニア州の環境対策法
二酸化炭素の排出量削減目標
2006年、カリフォルニア州は「California Global Warming Solutions Act(カリフォルニア州地球温暖化対策法)」を成立させました。※Assembly Bill 32: AB32
州のニ酸化炭素排出量を2030年までに1990年比40%削減することを定めています。
レジ袋(プラスティック)への取り組み
カリフォルニア州のレジ袋禁止法案(2015年~)
カリフォルニア州では2015年1月以降、食料品店などでの使い捨てレジ袋の(無料)提供を禁止する法案が可決。1枚10セント(約11円)で購入する形になりました。
- 食料品・日用雑貨品店、薬局:2015年7月1日以降
- コンビニエンスストア、酒店:2016年7月1日以降
実はすでに、カリフォルニア州の大都市であるサンフランシスコ市(2007年)、ロサンゼルス市(2014年)で、レジ袋の条例を発効させていましたが、州レベルでの規定は全米初となりました。
日本でレジ袋が有料化(2020年~)
日本でも、2020年7月以降、プラスチック製買物袋有料化制度により、レジ袋の有料化義務化されました。
レジ袋の価格設定
サンフランシスコ州と異なり、日本では1枚あたりの価格が1円以上であれば各事業者が価格を決めていいことになっています。
レジ袋有料化の例外
以下、私も知らなかったのですが、例外があるようです。
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html1,プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの
繰り返し使用が可能であることから、プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制に寄与するためです2,海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買物袋は、海洋プラスチックごみ問題対策に寄与するためです3,バイオマス素材の配合率が25%以上のもの
植物由来がCO2総量を変えない素材であり、地球温暖化対策に寄与するためです
レジ袋に対する行動・意識の変化
以下、レジ袋有料化開始前の3月と、開始4ヶ月後の11月の「最近1週間以内に買い物をした際にレジ袋をもらいましたか?」というアンケートで「もらっていない」と回答した人の比率です。
どの世代も「もらっていない」が大幅に増えています。
「レジ袋の有料化が始まって以降、プラスチックごみ問題への関心は高まりましたか?」という質問に対しては、下記の結果になっています。
- もともと意識⾼く、⾏動していた:27.4%
- ⾼まったため、⾏動や意識に変化があった:29.5%
- ⾼まったが、⾏動や意識に変化はない:21.1%
- ⾼まっていない:20.0%
「高まったため、行動や意識に変化があった」方が今後も増えていくといいなと感じました。
プラスティックストロー削減
カリフォルニア州ではストロー提供原則禁止
2019年1月以降、レストランなどのフルサービス飲食店(ファストフードは適用外)では、客が求めない限りプラスティック製のストローの提供は原則禁止となりました。※州法案1884(Assembly Bill No. 1884)
持ち帰りの場合は、プラスチック製ストローを配布することが可能。
州としてのこのような法律は全米初。
日本のプラスティックストロー削減への取り組み
残念ながら、まだ国家単位では法規制などはありません。しかし、大手企業を始めとしてさまざまな企業で、プラスティック製のストロー提供の廃止、環境にやさしい素材への切り替えなどが行われています。
スターバックスコーヒージャパン、セブンイレブンジャパンではストローがなくても飲める蓋の提供、すかいらーくグループでは自然分解される代替ストローの提供などが行われています。
今後も、さまざまな企業が取り組みを始めるとおもうので注目していきたいとおもいます。
ガソリン車(CO2)に対する取り組み
カリフォルニア州、ガソリン車の規制
サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴの一部エリアでは電車はあるものの、まだまだ車社会のカリフォルニア州。人口が多いこともありますが、年間、約200万台の新車が販売されています。
地球温暖化の原因にもなるCO2対策として、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、ガソリン車の乗用車・軽トラックの新車販売を2035年以降は廃止する政策を打ち出しました。
ガソリン車の保持や、中古車(ガソリン車)販売は例外です。二酸化炭素排出量を35%削減する狙いです。
ガソリン料金が高いカリフォルニア州
補足ですが、カリフォルニア州は全米一ガソリン代が高いです。
私が住んでいるカリフォルニア州サンディエゴのガソリンの料金は、1ガロン(約3.8リットル)で$4.50=500円程度($1=110円で換算)。
東京は1ℓで150円程度=1ガロン(3.8リットル)あたり570円程度なので、東京のほうが少し高いですが、車社会のアメリカでは毎日通勤や通学に車を利用することを考えると、月々の出費はかなり膨大になります。
ちなみに、安い州のひとつフロリダでは、1ガロン$2.96程度=325円程度です。
カリフォルニア州のエコカー普及率
プラグイン電気自動車
バッテリー式電気自動車 | 6.2% |
---|---|
プラグインハイブリッド車 | 1.9% |
計 | 8.1% |
2020年のデータをみると、プラグイン電気自動車(バッテリー式電気自動車+プラグインハイブリッド車)の割合は、米国全体では「2.03%」。カリフォルニア州の「8.1%」はなんとその4倍にもあたります。
米国全体のプラグイン電気自動車のうち、44.6%がカリフォルニア州で登録された車体です。
2018年のデータだと、1000人中プラグイン電気自動車を所有している割合は、カリフォルニア州が1位で11.96人。2位は5.83人のワシントン州、3位は5.17人のオレゴン州。
ハイブリッド車
ハイブリッド車(HEV)単体だと全体の6.9%です。(2020年)
電気自動車
カリフォルニア州で登記されている電気自動車(100%電気を利用)は、425300台(2021年)。ほかの州と比べてもダントツです。
日本のエコカー普及率
環境にやさしく、かつ燃費の性能が良い車を「エコカー」と呼ぶことがありますが、その定義はあいまいなようです。ここでは、次世代自動車について調査してみました。
国土交通省・経済産業省によると、2017年、次世代自動車(ハイブリッド自動車・電気自動車&プラグインハイブリッド自動車・燃料電池自動車・クリーンディーゼル自動車)の割合は、36.7%にとどまっています。内訳は下記。
ハイブリッド自動車 | 31.7% |
---|---|
電気自動車 | 0.55% |
プラグインハイブリッド自動車 | 0.78% |
燃料電池自動車 | 0.02% |
クリーンディーゼル自動車 | 3.6% |
比較
分類方法が少し異なるため、比較するのが難しいのですが、比較できるものだけ比較しようとおもいます。
カリフォルニア州 | 日本 | |
プラグインハイブリッド自動車 | 1.9% | 0.78% |
ハイブリッド自動車 | 6.9% | 31.7% |
電気自動車 | 1.2% | 0.55% |
EV: Electric Vehicle=電気自動車。
BEV: electric vehicles and battery electric vehicles=バッテリー式電気自動車。
PHEV: plug-in hybrids=プラグインハイブリッド。日本では「PHV」表記。
HEV: hybrid electric vehicles=ハイブリッドカー、ハイブリッド自動車。
PEV: Plug-In Electric Vehicle=プラグイン電気自動車。
太陽光発電
CO2削減にもつながる自然エネルギーのひとつ、太陽光発電。日本でもわりと見かけることが多いですね。カリフォルニア州も太陽光発電に力を入れており、大きな目標を掲げ着実に行動にうつしています!!
ソーラーパネル設置義務化(2020年~)
カリフォルニア州は、ソーラーパネルの設置率が全米で一番高いともいわれており、カリフォルニアの電力の約17%は太陽光発電でまかなわれています。再生可能エネルギーの割合を、2030年までに60%、2045年までに100%にすることを目標とした法案(Senate Bill 100:SB 100)を実現させるために、さらに太陽光発電を増やすための州法が可決されました。
2020年の1月1日以降に建設される全ての住宅に、太陽光発電を設置することが義務化されました。対象は、2020年1月1日以降に新しく建設される一戸建て住宅、低層階の複合住宅(アパートやテラスハウスなど)で、日当たりが悪く太陽光発電設置に適さない住宅など一部は除外されます。
カリフォルニア州では、年間平均して8万戸の新築住宅が建てられているため、この義務化によって太陽光発電の設置数が必然的に増えていくのは予想できます。
ソーラーパネル設置義務化も、州単位では全米初。

日本のソーラーパネル設置への取り組み
日本全国の太陽光発電普及率は13%、一般家庭は6.6%(2014年)。ソーラーパネル(単体)設置の国から補助金等は現在は廃止されていますが、地方自治体によっては補助金制度があるところもあります。
日本全国の太陽光発電の年間発電電力量の割合は、8.5%(2020年)で、カリフォルニア州の17%と比べると半分ですが、ソーラーパネル設置の値段が下がったので、今後の伸びに期待したいと思います。
アメリカで環境規制が厳しいと言われているカリフォルニア州と、日本の取り組みを比較して紹介してみました。いかがでしたでしょうか?
使い捨てのレジ袋の廃止、プラスティックストローの廃止、ソーラーパネル設置義務化など、全米初となる規制をすすめるカリフォルニア州。
私は現在カリフォルニア州に住んでおり、環境に配慮したさまざまな法規制(州法)が次々と成立していくことや、エコバックや水筒を持ち歩くカリフォルニアの人々の意識の高さを感じています。
かわいいエコバックや水筒なども多く販売されているので、カリフォルニアにお越しの際はぜひお土産にでもチェックしてみてください😊